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妓妓の脱欺
2016-07-10 00:00:37
ときは欺飾誤の三国時代
霧のやや濃い夜のことである

とある少女が金属製の球打棒に乗って飛んでいる

妓妓と武武

欺の国で天子付き女官をしていた紅民 妓妓である
黒い小豚を乗せて飛んでいる 共に脱欺した武武である

いくらか飛んでからのことである
誤の国の方から蒼民の女が飛んできた
危うく妓妓と衝突しそうになった

妓妓は急いで進路を三時の方向に変更した 直角に変えた

「どこ見て飛んでんのよ あんた」と妓妓は振り返り叫んだ

蒼民の女は「夢見て飛んでるのですわ あたくし」と返す

臥臥と若若

妓妓は思った 友だちにはなれそうにない
自分の世界にどっぷり そういう状態で飛んでいる

あまりかかわらない方がいい相手
妓妓はそう思わずにいられなかった
蒼民の女も妓妓に興味はない どんどん遠ざかって行く

それから少ししてのことである
雨の小粒が妓妓の鼻先についた
ぽつっと静かについた 冷たい雨が

「水があ」と妓妓が叫んだ 短く叫んだ

「雨やんけ」と武武は素気ない口調で呟いた
極めて淡白に 分かり切ったような顔で

「水なのよ」と妓妓がいらついた
ひすを起こしている 妓妓はよくひすを起こす

「雨やもんね」と武武

「水ってばあ」と妓妓がいいながら武武の首を絞める
窒息するかもしれないくらい力を入れる

そうまでなると武武は死ぬかもしれないと思った
それなら屈するしか仕方あるまい 諦念降参である

「水やんけ」と武武

「だから水っていったのよ」と妓妓

「せやんけ」と武武は失意渋面

「そうだよお」と妓妓は得意満面

しかし二人はすっかり方向を見失っている
霧のやや濃い夜のことである

        
 

霧鐘という装置が現代にはある
霧の濃い夜だと視覚ではなかなか無理がある
だから聴覚で知らせる それが霧鐘だ